【解体工事事業】厚生労働省 4月1日からスタート
石綿の事前調査結果の報告が義務化

4月1日より、個人宅を含む建築物等の解体・改修工事について、石綿(アスベスト)の事前調査結果の報告が義務化されます。これに伴い、厚生労働省は、「石綿事前調査結果報告システム」によるオンライン報告を3月18日よりスタートさせることを発表しました。今回は、同制度の対象となる工事・規模基準等の概要に加え、電子システムによる報告のメリットなどについてまとめました。

 

労働基準監督署及び自治体への報告が必要に

 大気汚染防止法及び石綿障害予防規則の改正により、建築物などの解体・改修工事を行う施工業者(元請け業者)は、4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改修工事について、石綿(アスベスト)の使用の有無に関する事前調査の結果を、労働基準監督署及び地方公共団体に報告することが義務付けられます。

 事前調査は、原則全ての解体・改修工事が対象で、設計図書等の文書による調査と目視による調査の両方を行う必要があります。このうち、建築物において報告義務が生じるのは、解体部分の床面積の合計が80㎡以上の解体工事と、請負金額が税込み100万円以上の改修工事で、これには個人宅のリフォームや解体工事なども含まれます(図1)。なお、報告義務が発生しない場合においても、工事発注者に対して書面で調査結果を掲示する必要がある点に注意が必要です。

 事前調査については、現時点では建築物石綿含有建材調査者※または(一社)日本アスベスト調査診断協会の登録者による調査が「望ましい」とされており、2023年10月以降に義務化される予定です。事前調査の結果、石綿が「有り」または「有りとみなす」となった場合は、法令等に基づき、適正な石綿飛散防止、ばく露防止等の措置を講じることが求められます(図2)。

 なお、厚生労働省では、石綿障害予防規則の概要、法令改正の内容などを解説した「石綿総合情報ポータルサイト」を開設しています。

石綿総合情報ポータルサイト
https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/

電子報告システムで24時間オンライン対応

 事前調査結果の報告については、原則として3月18日から利用開始となる電子システム「石綿事前調査結果報告システム」から行います。同システムを利用することで、労働基準監督署や自治体の窓口に出向くことなく、パソコン、タブレット、スマートフォンから24時間オンラインで報告することが可能となります。1回の操作で労働基準監督署と地方公共団体の双方へ同時に報告を行えるほか、複数の現場についてもまとめて報告することができます。また、申請情報のうち、よく使う項目をピックアップして独自のテンプレートを作成することができるほか、システムに入力したデータを活用して、事前調査結果の掲示用資料等を作成することも可能となるなど、多くのメリットがあります。

 同システムを利用するためには、事前準備が必要となります(図3)。具体的には、OSやブラウザ等の環境面で一定の条件を満たすパソコンまたはスマートフォン等の端末を準備するほか、一つのアカウントで様々な行政サービスにログインできる法人・個人事業主向け共通認識システム「GビズID」でアカウントを取得することが必須となります。同IDには、「プライム」と「エントリー」の2種類があり、「プライム」アカウントでは複数工事を一括でシステムに入力し、報告できるなど、アカウントの種類によって行える処理の内容が異なるため、報告数や事業者規模に応じて選択することになります。なお、同システムについては、3月18日の本格運用開始に合わせて公開される予定です。

石綿事前調査結果報告システム
https://www.ishiwata-houkoku.mhlw.go.jp/

※ 建築物石綿含有建材調査者…厚生労働省・国土交通省・環境省の3省共管による「建築物石綿含有建材調査者講習」を受講し、講義と筆記試験を修了した者。

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